アニメ「有頂天家族」をもっと楽しむために(その2)

 

アニメ有頂天家族、9/29の放送で最終回を迎えました。

大団円でしたね。感無量。感謝感激。

面白かった。

私は、バンダイチャンネルで先週のおさらいをしたあと、テレビで放送を見て、そのあとバンダイチャンネルの特番を見ていました。

原作者の森見登美彦先生のご尊顔は3ヶ月ぶりでしょうか(3ヶ月前もバンダイチャンネルでの舞台挨拶をみた)。第二部も楽しみにしています。

 

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(その2ですでに最終回を迎えてしまっているとは。)

 

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今回は、有頂天家族に登場するいろいろなアイテムを見てみようと思います。

一見物語には全然関係ない、でもこれがないとお話があっけない、ないとさびしい、でもなんであるのか分からない、雰囲気があり趣があり、魅力がある。

そんなアイテムが良く登場します。

 

また、森見登美彦氏の小説の魅力のひとつに、全く別々の著作に、おなじアイテムや、おなじ人物が登場することがあります。もちろん舞台は全部おなじ、ご存知「京都」ですね。

 

そんなふうに別の作品とのゆるやかな横のつながりを感じさせつつ、全体で不思議な「京都」、モリミーワールドが出来上がる。

いくつも作品を読んでいくほどに、じわじわと面白さが広がっていく感覚が楽しめるのも作品の魅力だったりするのです。

 

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「有頂天家族」に登場するアイテム

 

  • 電気ブラン
    実際に「電気ブラン」というお酒があるそうですが、それを真似て作ろうとして出来上がってしまったのがこの偽電気ブランだとか。有頂天家族では、夷川家が製造していることになっています。
    小説「夜は短し歩けよ乙女」にもおなじ名前のお酒が登場します。李白さんという吝嗇家の金貸しが夜はお大臣になって偽電気ブランを人々に振舞うのですが、これももしかして夷川家から仕入れているのかもしれません。
    また、小説「聖なる怠け者の冒険」には「テングブラン」というお酒が登場します。こっちは天狗が作っているのかも。

 

  • 招き猫
    金閣銀閣が化けていたり、ちらりと背景に映っていたりしたかと。小説「太陽の塔」には太陽電池でゆらゆら腕をふるソーラー招き猫が登場します。小説「四畳半神話体系」でも、忘れがたいアイテムです。

 

  • 達磨
    矢三郎が身を隠すためにあわてて化けるも弁天にばれてしまう場面がありました(あそこのアニメーションは注目でした)。達磨といえば、小説「夜は短し歩けよ」をはじめ、いろいろなところに登場しますが、「夜は~」頭の上にぽーんと落ちる場面がお気に入りです。

 

  • 打ち上げ花火
    納涼船合戦で花火大砲を応酬する場面などは見せ場のひとつでした。「四畳半神話体系」では主人公私が、矢三郎の口上とおなじようなことをしゃべりながら、新入生歓迎コンパの面々に花火を打ち込んでいました。彼もまた阿呆。

 

  • 鉄のパンツ
    金閣銀閣が履いてました。森見作品において、パンツとは阿呆のシンボルかもしれません。阿呆の必須アイテム。パンツ総番長!桃色ブリーフ!水玉ブリーフ!などなど。四畳半を居城とする阿呆が、唯一身にまとう正装なんです。

 

  • 叡山電車
    偽叡山電車!捲土重来!捲土重来!とスピーディーでテンションがあがる場面でしたね。叡山電車に乗って別の場所に出かけるのは「走れメロス」「四畳半王国見聞録」などにも登場しますが、特に印象に残るのは、「太陽の塔」に登場する夜の叡山電車です。真っ暗な市街地に突然煌々と明るい空間を囲う電車が現れるという幻想的な場面。また、ファンタジーの入り口としての装置にもなっていました。
    あとは、叡山電車の沿線、下鴨神社の周辺は、森見作品に登場する主要人物がたくさん住まう土地ですね。
    電車といえば、李白さんの三階建電車も忘れてはいけませんね。寿老人の自家用電車も気になります。

 

  • スズキ君
    アイテムではないですし、残念ながらアニメには登場しませんでしたが、淀川教授の研究室の学生さんです。原作では教授と一緒にバウムクーヘンを食べていたり、初詣にも同行してました。小説「四畳半王国見聞録」にも淀川教授が登場しますが(あだ名は狸先生!)、こちらにも淀川先生の教え子として鈴木君という人物が登場してたりします。
    あと、淀川教授は「詭弁論部」のOB。詭弁論部も「夜は~」や「走れメロス」などいろいろなところで出てきますね。

 

  • クリスマスツリー
    弁天がやってきたのに気づかず、赤玉先生は酔いつぶれてました。その横でツリーが光ってましたね。森見作品では、切なさの象徴として登場することの多いアイテムです。

 


  • 小説「聖なる怠け者の冒険」のあとがきで森見登美彦氏が有頂天家族を「さまざまな水面下のつながりを持っている」として紹介しています。それを探すのも楽しみになるかも、と。

 

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これくらいにしようとおもいますが、他にも実際まだまだたくさんあります。アイテム以外にも、人物や場所もいろいろつながりがありますので、ぜひ、原作の有頂天家族を読んだ次にでも、そのほかの小説にチャレンジしてみて、探してみるのも楽しいですよ!

 

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こういう謎の描写があるのも魅力ですよね。

 

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おわり